2007年04月22日
孤独と威厳と強さの女王…アカデミー賞女優ヘレン・ミレン氏

あれは確か、10年前の8月31日でした。
夜の8時か9時か…。
お笑い番組(だったような)を見ていたらテレビ画面にテロップが流れました。
「ダイアナ元王妃が事故で亡くなりました」。
「エッ-、何?」…一瞬、番組のいたずらかと疑ったのを思い出しました。
主演女優のヘレン・ミレンさん。
顔のシワから髪型、ちょっと外股な歩き方、背筋の伸びた立ち姿、ときおり髪に手をやるしぐさの何もかもが女王そのものです。
もっとも女王とは面識がないので、事実のほどはわかりません。
物語は、ダイアナさんの事故から始まりました。
それはすでに、女王にとっては息子チャールズ皇太子と離婚後のことです。
「また、何かやらかしたのあの子…」と、女王の一言は嫁と姑といった一般人と変わらない確執を感じさせ、館内にクスクス笑いが起こりました。
世界の果てまでいこうと、それがロイヤルファミリーであろうと、人類、皆同じなんや。
世界中が泣くダイアナさんの死に対し、
「すでに皇族を離れたあの子、声明文は発表しない」と、女王としての威厳と姿勢を押し通し涙一つ見せない。
「これ以上、国民の反発を買うことはロイヤルファミリーにとって得策でない」と、女王に進言するブレア首相とのやり取りは、立場ある人間同士の孤独と覚悟を感じさせます。


感情を見せてはいけないと教えられ、そうしてきた。
自分の意思とは無関係に、それが女王としての役割であり責任だと育てられた。
今、その価値観の転換を迫られている。
自分を見失わず、威厳を保ちつつ新しい自分を作り出す。
言葉にするとなんと軽い。
「好き好んで女王に生まれたんじゃないはずだ!
これ以上、バッシングするのをやめさせろ!」
女王をかばうブレア首相のセリフが泣かせました。
スコットランド北東部、アバディーン市郊外にあるバルモラル城(女王の個人的なお城とか)が美しく、一見の価値ありです。
お城での朝食スタイルや、寝室で夫(なんとか伯爵)との普通の夫婦のやりとりに、テレビ画面では見たことのないロイヤルファミリーの普段着に触れました。
それが事実かどうか確かめる手立てもないけど、イギリスの女王がずいぶん身近になったことは確か。
人は誰も弱いし、だからこそ共感できる。
へレン・ミレンの演技もさることながら、女王のファンになる人が増えるのではないでしょうか。

